11月9日 東京都交響楽団 特別演奏会
オールブラームスのプログラムでしたが、
前半のヴァイオリン協奏曲では、川久保賜紀さんによる繊細で瑞々しいソロを堪能できました。
第一楽章はやや遅めのテンポでオーケストラがソロを支え、
第二楽章の冒頭では、広田さんの素晴らしいオーボエソロが聴けました。
第三楽章はロンド楽章ながら一抹の寂しさが漂っていますが、
そのあたりをソロ、オーケストラ共々巧みに表現していたと思います。
それだけに、曲がまだ完全に終わっていないのに拍手が起こったことは、いささか残念です。
後半の交響曲第1番でも、オーボエ、クラリネット、ホルンなどによる名人芸が、曲の随所で味わえました。
前半の協奏曲ではソリストに合わせたのか、オーケストラの繊細な表現を感じましたが、
交響曲では一転力強いものが聴けました。
オーケストラの豊かな響きは、単にそれを聴いているだけでも幸福感に浸ることができます。
今回は、正にそのような演奏会でした。
マエストロも都響という名器を得て、実力をいかんなく発揮できたと思います。
VNSO以外との「他流試合」も、今後の楽しみにしたいですね。
なお、コンサートマスター山本氏には、最大の賛辞を贈りたいと思います。
リーダーとしての態度、ひたすら音楽に対して奉仕するかのような姿勢には、強く打たれました。
演奏する姿も神々しく、本当にすばらしいコンサートマスターです。
個人的なことを述べますと、学生時代から都響の定期会員になって、
数多くの名指揮者との演奏会を聴いてきました。
私にとって最も思い出の多いオーケストラです。
その実力を以前よりさらにアップした都響を、ここハノイで聴くことができるとは、
奇跡のような話です。
今回の公演は、マエストロをはじめ多くの方々の、大変な努力の賜物であると思います。
このようなすばらしい演奏を実現いただき、本当にありがとうございました。
(ハノイ音楽評論家 Sさまより)
by OperaHouseinHanoi | 2010-11-14 18:04 | ・行ってきました! ご報告