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10月23日 ハノイ建都千年祭 記念コンサート 

今回は、ハノイ音楽評論家のSさんに記事をお願いしました。
たくさんの方に支えられているブログです☆
Sさん、本当に有難うございました。 そして、またお願いします。



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ハノイの建都1000年に最もふさわしい音楽は、やはりマーラーの交響曲第8番でありましょう。
また、マーラーがこの曲を初演したのが1910年(死の1年前)ですから、
それから100年という記念すべき年に行われた演奏会でもありました。
その初演の際に、演奏者の数が1,000人を超えたことから、
「1000人の交響曲」というニックネームがついたようです。
しかしながら実際には、今回のように、演奏者数が1,000人を超えることは少ないそうです。


今回の演奏会は歴史的な意義も、もちろんありますが、
それに加えて演奏のすばらしさで、マエストロにとっても、VNSOにとっても、
記念すべきものとして、長く語り継がれることになるのではないでしょうか。

第1部の全般、および第2部のフィナーレでは、オーケストラ、ソリスト、
合唱が一体となり、壮大かつ天上的な響きが創造されました。

私が思い浮かべたのは、作曲家自身がこの曲について、オランダの大指揮者
メンゲルベルクあての手紙で書いたという下記の言葉です。

「この曲は、これまでの私の作品の中で最大のものであり、内容も形式も独特なので、
言葉で表現することができません。大宇宙が響き始める様子を想像してください。
それは、もはや人間の声ではなく、運行する惑星であり、太陽です。
これまでの私の交響曲は、すべてこの曲の序曲に過ぎなかった。
これまでの作品には、いずれも主観的な悲劇を扱ってきたが、
この交響曲は、偉大な歓喜と栄光を讃えているものです。」


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その一方でこの曲の抒情的な部分、
特に第2部では冒頭の霧に包まれたような
神秘的な雰囲気、
第2区分での女性合唱、
児童合唱による清楚な歌声、
第3区分でハープが彩りを添える中、
弱音でヴァイオリンが主題を奏で、
その後に女性のソリストが次々に歌うところなど、
特に忘れ難い印象を持ちました。



当然の事ですが、ファンとしては、今後のマーラーの演奏会が益々楽しみになりました。

なお、今回の8番の場合には、大規模な声楽陣を必要とすることや内容からも、
交響曲というより、カンタータやオラトリオに近い性格を感じます。

これはやや飛躍した当方の勝手な希望ですが、
今回の成功を糧に、将来バッハやヘンデルの宗教音楽の演奏会を、
マエストロとVNSOの皆さんにお願いできないか、などと考えてしまいました。

最後になりましたが、今回の演奏会本当にありがとうございました。




10月23日  ハノイ建都千年祭 記念コンサート _b0167191_11111717.jpg

by OperaHouseinHanoi | 2010-10-29 11:23 |  ・行ってきました! ご報告  

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